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キャッシュフローの計測単位 ここでの計測単位とは,キャッシュフローを把握するための組織,製品・サービスのくくりをいいます。
連結で考えるのがグローバルスタンダードとなり,また実態を把握するのにも便利です。
したがって,計測単位としては,企業グループ全体,事業部門,事業部,製品。
サービス等が考えられます。
特定の投資の評価に関しては,その影響範囲すべてを特定し,その投資からのキャッシュの出と入りすべてを組織に関係なく算出します。
このため影響範囲がわかれば,あとはシンプルであり,組織,製品サービスといった単位の問題はありません。
乱暴な言い方をすれば,組織やくくりはどうでもよいのです。
しかし企業価値・事業価値評価における計測単位には,大きく2つの課題があります。
まず第1に,事業としての価値把握単位という課題です。
これはどちらかというとマクロの問題です。
日本の大企業を見ると,事業部や事業本部といった組織が子会社,関連会社をもっています。
そして,これらの会社がビジネスプロセスの大きな単位のバリューチェーンや,そのなかで物の動きに関係するサプライチェーンなどの機能を分担しています。
そのため,事業価値といったら,これらすべての会社がいかにも一つのくくりであるかのように考える必要があります。
企業単位を超えて考える必要があるため,マクロという言葉を使いました。
事業単位として,企業間を統合して1つのくくりとすることを事業連結,もしくは事業統合といいます。
この単位でフリー・キャッシュフローを測定して,事業価値を算出します。
日本企業にとって,これは大きな挑戦となります。
グループ内で企業と企業を連結して外部報告するレベルでの情報では,この事業連結ができないからです。
外部報告用の連結は財務連結(リーガル・コンソリデーション)というものであり,事業価値のためには,管理連結という仕組みが必要です。
この場合の計測単位は,事業別にグループ企業を連結したバーチャル企業となります。
親会社中心の発想から脱却して,事業をグループ全体で捉える必要があり,そのための情報収集にも,知恵とエネルギーが必要となります。
持ち株会社制の採用がすすむと,事業グループが1つの企業に統合されるかもしれません。
そうなれば情報も収集されやすくなります。
しかし,そうならなくても,持ち株会社は事業連結によって事業価値をしっかり管理する義務が発生します。
そして,事業価値の合計である企業価値と,それから負債を差し引いた株主価値の向上が株主に対する責任という意味でも,事業ごとのキャッシュフロー把握は,大切な使命となります。
第2の課題は,ある事業における製品やサービス単位,もしくは顧客単位といった細かいレベルでの把握が可能かというミクロ的なものです。
これはキャッシュフローだけの問題ではなく,損益計算書でも同じ問題があります。
製品・サービス等売上の入金ベース情報は比較的容易に把握できます。
細かい単位での集計で問題となるのは,コストサイドです。
いわゆる間接部門の経費や,製品・サービス間で共通に発生するコストのキャッシュアウトをどう把握するかが難しいからです。
旧来の会計処理では配賦ということを行ってきましだ。
しかし,これは人間のあたま数や売上規模等の基準に基づいて行われ,基準が実態,つまりリ. y , スの使用とマッチしていない場合が多くあります。
同じリソースでも,ある場合はこちらの基準,ほかの場合はあちらの基準という場合もあり,正確に把握しようとすると,複雑な処理(例えば回帰分析)によって基準を決めるなどとなってしまいます。
このため,配賦後のキャッシュ利益が人工的になり,実態から離れたものになります。
配賦ではなく,直課ということができればよいのです。
直課とは,間接費や共通費に関して,製品やサービスに使われた額をそのまま把握し,その分のみをコストとして負担させるというものです。
ここで強力なツールがあります。
活動基準原価計算(ABC)というものです。
英語でのActivity Based Costingの略です。
製品ごとやお客様ごとにどれだけのリソースが消費されたかを把握します。
そのため,例えば営業マンの人件費などが,直課できます。
ABCでは,まず業務を構造化し,大きな単位から細かい単位まで分解していきます。
例えば,営業業務という「業務」を以下のような分類まで落とします。
「調査」「打ち合わせ」「企画・計画」「資料作成」「本部作業」「店舗作業」「社内作業」「移動」「社内事務作業」などです。
次に,これら各作業をさらにもう一段下位のレベルまで落とし込みます。
例えば,「本部作業」は,以下にブレークダウンされます。
「商品差し替え」「新商品導入」「定期プロモーション企画」などです。
さらにこの仕事をもう一段階落とします。
そうすると,例えば「定期プロモーション企画」が,「本部アポイント確定ム」「待ち」「本部打ち合わせ・商談」という活動,つまりアクティビティのレベルまで分解できることになりました。
これらの活動における関与者の時間の割り振りをして,各人の時間当たり単価を乗じて活動ごとのコストを把握します。
一方各活動は,どの商品やサービスを対象に,そしてどの顧客向けに行われるかも合わせて把握します。
この調査が, ABCの基本になります。
そして製品・サービスや顧客単位にコストが把握できるのです。
ここでのコストの大半は人件費であり,通常当該月に現金で支払われるキャッシュコストです。
つまり, ABCを導入していれば,細かいレベルである,製品・サービスや顧客向けのキャッシュ利益が求められます。
ただし,事業部等の経理,総務といった部門は,ABCを行ってもなかなかこのレベルでのコストの直課には結びつきません。
アクティビティでの特定ができなければ,むりやりコストを配分せず,部門や全社のオーバーヘッドというくくりで別枠でキャッシュフローを把握した方が,実態を正確に反映できます。
つまり,人事・総務・経理・法務等通常は本社機構の一部となり,全社にサービスを提供する部門は,ある特定の部門,製品,顧客向けでのサービスとそのコストを把握しづらいということです。
これら部門はキャッシュの入りは通常ありません。
したがって,キャッシュフローは人件費の流出,つまりマイナスキャッシュ利益となります。
ミクロ的課題の続きとして,運転資本があります。
製品・サービス別の把握について見てみましょう。
在庫に関しては,製品そのものですから問題ありません。
買掛金も原材料等で製品ごとに使用目的がはっきりしているはずですから,把握可能です。
しかし,売掛金は顧客別に発生します。
顧客と製品情報が把握されるような情報システム上でのデータ保存が大切になります○"・顧客1本でいくらでは,把握のしようがありません。
人海戦術でデータを加工することは,時間とコストがかかりすぎます。
顧客別のキャッシュフローでは,在庫と買掛金に課題があります。
しかしこれも先ほどの問題と同じで,売上情報が製品別に分解できるのなら,製品別のキャッシュフローで把握した在庫・買掛金情報を使えば,把握可能です。
この製品在庫はどの顧客向けかが把握されているのなら,ひもつけされており,その数値を使えばよいのですが,すべての完成品在庫がそうともかぎりません。
また,原材料・半製品在庫や買掛金は,ひもつけできません。
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